あと6時間後にアイドルじゃなくなるあなたへ。

 

今日、佐藤優樹ちゃんがモーニング娘。’21を卒業する。

 

発表から3か月経って卒業記念グッズなんかが次々出てもいまだになんだか現実味がなくて「まーちゃんこのドレス似合うな~」とにこにこ見ていたし、卒業インタビューも「いいインタビューだな~」とほっこり読んでしまった。

これまでメンバーが卒業するときはインタビューなんて読めずに「卒業しないで…」と呻いていたのになんだか不思議だ。

TLを見てもそういう人は多いみたいで「なんだか佐藤優樹ちゃんが卒業する日みたいな天気ですね」なんてふわふわした冗談が飛び交っている。

 

全く頭では理解が追いついていないのに、確実に心に負荷はかかっているようで、突然寂しさに耐えられなくなって夜中にコンビニで欲しい物を全部買って一時的に埋め合わせようとしたりもした。
体は疲れてるのに眠れなくて、ハイボールを煽って無理やり寝たりもした。

 

卒業ライブの当日になってもまだぼんやりとしている自分のために、記録として佐藤優樹ちゃんとの話を振り返りたいと思う。

 

 

 

初めに佐藤優樹ちゃんの名前を知ったのは、Twitterだったと思う。

「私は推しの字のヤバさに惚れた」みたいなそんなツイートと一緒に生写真が上がっていて、どの写真だったかは思い出せないが「ツ」と「シ」がうまく書き分けられていない癖の強い字に「おお…」となった記憶がある。

 

その時にはなんとなく名前とちょっと変わった子なんだなということだけを知ったくらいだったのだけれど、次に見たのがあの「LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-」だった。

偶然YouTubeで公演の一部の動画を見て以来「シルベチカなんて知らない!」のメロディーが毎日頭を離れなくなって、すぐにDVDを買って、見て

 

吹っ飛んだ。

 

 

佐藤優樹ちゃんが演じるのはマーガレットという自分をお姫様だと思い込んでいる女の子なのだが、その登場曲でのスカートの翻り方、ステップの踏み方、「私のことをご存知かしら?」の奔放なリズムの取り方、何をしだすかわからない笑い方、全部が全部自分の深いところに刺さった。
本当に「朝起きて目覚めれば太陽が昇る」のも「夜が訪れれば美しい月が光る」のも、佐藤優樹ちゃんのことになった。

これは大袈裟な言い方に聞こえるかもしれないけれど、私はその時初めて本当の「自由」を見たのだ。

昔から”お利口さん”だった私は、何をするにも人の顔色ばかり伺ってきた。
人と同じように合わせられるけれどそれ以上でも以下でもなかった。

だから、音を自由に掴んで振る舞うまーちゃんの姿は何より輝いていて、そのきらきらに心から魅せられて、「この子のことが好きだ」と強く思った。憧れだった。

それまで芸能人やアイドルにハマったことのない私は、自分でもその感情がイマイチ掴みきれていないまま、何かお腹の底からパワーが出ているような、胸が詰まるような不思議な感覚でWikiやブログ、動画を夢中で見漁るようになった。

 

 

もうそこからは転がり落ちるような2015年の夏。

ちょうど「Oh my wish!スカッとMy Heart今すぐ飛び込む勇気」のリリース時期だったこともあり、当時地方の大学生だった私は夏の集中講義をほっぽってはイベントに出かけた。

メンバーと会える貴重な機会だったショッピングモールのイベントでは朝早くから整理券を取って半日待機したり、講義終わりに走って電車に乗って隣県のタワレコに駆け込んだり、自分のどこにこんな行動力があったんだろうというくらいあちこちへ出かけた。

初めての全員との握手イベントはテンパリすぎて全員に「大好きです!」とただただ叫ぶDDの様相を呈したし、次にまーちゃんと握手したZDAでは「まーちゃんに会うために隣の〇〇県から走ってきました!」と言ったらポカンとされた。
最近のテレビ番組でわかったのだけど、きっとあの頃のまーちゃんは県の名前なんて知らなかった。勝手に傷ついてごめんねまーちゃん。

 

 

そんなまーちゃんの”自由”に憧れて初めてアイドルオタクになったけれど、一時期その自由さを疎んだ時がある。ここからは懺悔。

 

ちょうど就活をしていたくらいだったと思う。自分はやれスーツの着こなしだ、就活生としてのマナーだ、ESは手書きだ面接のマナーはなんだと社会のルールにがんじがらめになっていた時。

 

まーちゃんが救いにならなかった。

ルールに縛られて小さくなっていく自分と対照的に、どんどん大きなステージを自分の色で染めていく佐藤優樹ちゃんのことが少し嫌いだった。

自分は面接で他の就活生と同じようにありもしない薄い志望動機を語っているのに、まーちゃんはみんなでのコメントの時に一人違う話をする。

自分は他の就活生と同じように面接会場に入る前ノックを3回するのに、まーちゃんはライブで一人違うダンスをする。

それまでだったら「かわいいな、かっこいいな」と見ていたものが徐々に苦しくなった。

 

まーちゃんがアイドルで本当に良かったと思う。

こんな醜い嫉妬も憧憬も届かないから。

ずっとこっちが勝手に感情を膨らませたり萎れさせたり、神様みたいに思ったり嫌いになったりできる。

直接言葉を交わすところにいなくて良かった。

まーちゃんを傷つけなくて良かった。

オタクって本当に勝手だ。

 

最近まーちゃんが話す時に「これは失礼になるかもなんですけど…」とか「これはそういう風に捉えて欲しくないんだけど…」とかの前置きがたくさん付くようになって、何か誰かに言われたのかなとか何か悪い言葉を読んでしまったのかなと、オタクは勝手に心配をしている。

良い意味で捉えれば”大人になった”なんだろうけれど、まーちゃんの”自由”に憧れた私は少し勝手に寂しい。
一回その”自由”が嫌いになったくせに、本当に勝手だ。

 

モーニング娘。を離れることで、まーちゃんがまた”自由”になれるならという気持ちと、まだまだモーニング娘。としてその枠組みを飛び越えて駆け回るまーちゃんを見たい気持ちと。

卒業のドレスが楽しみな気持ちと、卒業なんてして欲しくない気持ちと。

ソロ曲何歌うのかなってワクワクする気持ちと、卒業ってなんだよって気持ちと。

笑顔で晴れやかに送り出したい気持ちと、そんなことできないって気持ちと。

ずっと全部がグルグルしている。

 

まーちゃんの

声が好き。

きゃはって笑い声が好き。

目がキュってなる笑顔が好き。

話す言葉が好き。

わかるようなわからないような言葉選びが好き。

メンバーにつけるあだ名が好き。

リズムの取り方が好き。

いつだって音楽に真剣に向き合ってるところが好き。

音楽を心から楽しんでるところが好き。

ダンスの移動の時にクルクル回るのが好き。

キメでの毎回変わるアドリブが好き。

素直なところが好き。

天邪鬼なところが好き。

自分をアイドルだと思ってないところが好き。

つんとした口元が好き。

シュッとした鼻筋が好き。

曲の主人公になれる表情が好き。

舞台でのワクワクする演技も好き。

メンバーのことを深く理解してるところが好き。

モーニング娘。が大好きなところが好き。

キラキラしてるのにいつも寂しそうな目が好き。

 

自分のことを「迷惑をかける子」なんて言ったのが嫌い。

 

 

佐藤優樹から一度離れてください」なんて無理だよ。

こんなに好きで、結局きっとずっと一生好きだよ。

 

 

奔放で繊細ではちゃめちゃで絶対的で唯一無二な優しい優しい佐藤優樹ちゃん。

私の世界に現れてくれてありがとう。

モーニングを聴いてる時だけ、私は私のために生きてて良いんだって思うよ。

まーちゃんのことが、これからもずっとずっと大好きです。